東北大学
学際科学フロンティア研究所

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ブラックホールの1年の変化から流入ガスの乱れを捉える ─ ジェット噴流の起源解明に一歩 ─

2025年1月22日『Astronomy and Astrophysics』誌に論文掲載および2月13日プレスリリース

2025.02.13

東北大学学際科学フロンティア研究所(兼務 大学院理学研究科)の當真賢二教授が参画する国際研究チーム「イベント・ホライズン・テレスコープ(EHT)・コラボレーション」はM87銀河の中心にある巨大ブラックホールの観測を進めており、2017年の観測で巨大ブラックホールの影の撮影に史上初めて撮影に成功したと発表していました(2019年4月)。今回、2017年に加えてその1年後の2018年に行われた観測結果の比較から、巨大ブラックホールについての理解をさらに深めることに成功しました。
 
本研究では、1年の間に事象の地平面スケールで起こった現象を解析できるようにするため、理論シミュレーション画像を新たに12万枚も追加し、観測結果と照らし合わせました。その結果、M87ブラックホールの自転軸が地球とは反対方向を向いていることを再確認しました。そしてリングの最も明るい場所の変化には、ブラックホールの周囲を回転するガス円盤の乱流が重要な役割を果たしていることを示しました。これはブラックホール周辺の複雑な運動状態を解明する上で大きな前進となります。
 
本研究成果は欧州の天文学専門誌Astronomy and Astrophysicsに2025年1月22日付けで掲載されました。


図:M87ブラックホールの観測画像(左)と理論画像(中央・右)。
左図:2018年(上)と2017年(下)に行われたEHTの観測で得られたM87ブラックホールの画像。(中央)2つの異なる時間における一般相対論的磁気流体力学(GRMHD)シミュレーションに基づく画像。
右図:中央の画像をEHTの解像度に合うようにぼかした画像。
(画像クレジット:EHT Collaboration)

論文情報:
タイトル:The persistent shadow of the supermassive black hole of M87. II. Model comparisons and theoretical interpretations
著者:Event Horizon Telescope Collaboration
掲載誌:Astronomy and Astrophysics
DOI:10.1051/0004-6361/202451296
URL:https://www.aanda.org/10.1051/0004-6361/202451296
 
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