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量子もつれを破壊しないで特性評価できるアルゴリズムを開発 ー量子情報処理のセキュリティー強化や情報処理能力向上に期待ー
2025年3月4日『Physical Review Research』誌に論文掲載および3月19日プレスリリース
2025.03.19
量子もつれは量子力学の基本概念であり、量子コンピューターは量子もつれの上に構築されています。同時に、量子コンピューターはその性質を調査し、明らかにするための強力なツールでもあります。
東北大学学際科学フロンティア研究所のLe Bin Ho助教と英国ロンドンのパブリックスクールであるセント・ポールズ・スクールのHaruki Matsunaga氏は、量子コンピューターによる量子もつれの検出を強化し、もつれて(エンタングルして)いるかどうかを判定する手法のエンタングルメント・ウィットネスによる測定を最適化する、変分エンタングルメント・ウィットネス方式(VEW)を提案しました。従来の局所的な測定では量子もつれを破壊してしまうことがありますが、本研究では非局所的な測定法によって、量子もつれの破壊を引き起こすことなく量子特性を測定するアプローチを導入しました。量子もつれの検出と保護の両方を行う量子アルゴリズムが使われたのは今回が初めてです。
本アルゴリズムは、量子コンピューター、量子通信、量子暗号などの分野で応用され、実社会における情報セキュリティ向上や情報処理能力の革新に寄与することが期待されます。
本成果は、3月4日、米国物理学会の学術誌『Physical Review Research』に掲載されました。

図. 変分エンタングルメント・ウィットネス(VEW)方式の可視化。左:評価を待つ多くの量子状態が並んでいます。各状態はVEW法を使用して一つずつ分析されます。右:結果に基づいて、状態はもつれ部分空間(赤い楕円)または可分部分空間(青い楕円)に分類されます。
論文情報
タイトル:Detecting and protecting entanglement through nonlocality, variational entanglement witness, and nonlocal measurements
著者: Haruki Matsunaga, Le Bin Ho
*責任著者:東北大学学際科学フロンティア研究所 新領域創成研究部 助教 Le Bin Ho
掲載誌:Physical Review Research
DOI:10.1103/PhysRevResearch.7.013239
DOI:10.1103/PhysRevResearch.7.013239
プレスリリース:
東北大学
東北大学