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田中 幹人 助教(新領域創成研究部)
2017.10.19
田中 幹人 助教(新領域創成研究部)
『科学教育研究』に論文掲載
掲載日/2017年10月18日
学生の学びや成長を促進させるためには、授業改善はもちろんのこと、授業間および授業内外での関連性を高め、正課教育と正課外教育を有機的に結びつけることが重要であると言われている。その意味で、近年多くの学生が参加するアウトリーチ活動は正課外教育としての可能性を秘めている。しかしながら、学生がアウトリーチ活動を通じて何をどのような過程で学習しているのかは分からず、アウトリーチ活動において、学生の学習活動を支援したり、学習成果の質を高めたりするための具体的な方略がなかった。
そこで、東北大学が高校生向きに開催している天文学者の職業体験企画(「もしも君が杜の都で天文学者になったら。。。」)に、高校生の研究サポート役として参加する大学生を事例にしてインタビューデータを収集し質的研究を行った。分析の結果、活動を通じて、天文学の知識や研究の方法を学習していただけに留まらず、協働活動を通じて異質な他者との関係性を築いたり、自分なりにできる役割を見つけて果たしたりしながら、汎用的な能力を成長させていたことが明らかになった。また、活動を通じた経験から、居場所感や友人関係の構築を通じて充実感を感じたり、自己理解を促進させたりしており、もし天活動は大学生の心的な成長も促進させていることが推察される。もし天活動を正課外教育として捉えると、「授業時間外での学習時間」や「学習以外での友人との交際」を促進させる場となっていることから、活動は正課教育での知識・技能の獲得促進に寄与することが期待できる。
しかしながら、活動とこのような学習効果を結びつけ促進させるためには、単に学生を活動に参加させるだけでなく、教員による活動全体を通じた適切な援助介入(例えば、「天文学の基礎知識」「研究テーマの立て方」「天体観測・データ解析の方法」などについて主体的に事前学習できる場の設定や、役割の具体的な割り振り、など)が必要であることも明らかになった。