東北大学
学際科学フロンティア研究所

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AIを活用し膨大な実験と理論計算のデータを統合した材料マップを開発 ―― 新しい機能性材料開発期間の大幅短縮に期待 ――

2025年7月28日『APL Machine Learning』誌に論文掲載および7月31日プレスリリース

2025.07.31

これまで材料開発では、理論計算による予測と実験による検証が分離しており、効率的な材料探索が課題となっていました。
 
東北大学学際科学フロンティア研究所寄附研究部門「ナノ材料プロセスデータ科学」の 橋本佑介特任准教授と笘居高明教授、同大学材料科学高等研究所(WPI-AIMR)の賈 雪(ジヤ シユエ)助教と李 昊(ハオ リー)教授らの研究グループは、実験と代表的な理論計算の第一原理計算データを統合した大規模データセットにメッセージパッシング型グラフニューラルネットワーク(MPNN)を適用し、材料の熱電特性と構造類似性を一望できる「材料マップ」の構築に成功しました。マップ上では構造的に近い材料が近接して配置されます。似た構造の材料は似た手法で合成・評価されることが多く、既存の合成手法を生かして次のターゲット材料を選定するときの効率化に貢献します。
 
このマップを活用することで、実験研究者が未知の高性能材料において構造的に類似するものを短時間で抽出し、既存の合成手法を転用して次のターゲット材料を容易に選定することが可能になります。新材料開発期間の大幅な短縮につながることが期待される成果です。
 
本研究成果は、2025年7月28日(現地時間)に科学誌APL Machine Learningのオンライン版にて公開されました。


図:開発した材料マップ(左)とその拡大図(右)
材料の熱電特性(zT)と材料の構造類似性を同時に反映する材料マップにより、これらが同時に類似する材料の効率的な探索を実現します。

【論文情報】
タイトル:A Materials Map Integrating Experimental and Computational Data via Graph-Based Machine Learning for Enhanced Materials Discovery
著者:Y. Hashimoto*, X. Jia, H. Li, T. Tomai
*責任著者:東北大学 学際科学フロンティア研究所 特任准教授 橋本 佑介
掲載誌:APL Machine Learning
DOI:10.1063/5.0274812
URL:https://pubs.aip.org/aip/aml/article/3/3/036104/3355901/A-materials-map-integrating-experimental-and
 
 
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