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爆発的天体は高エネルギー宇宙のエネルギー源なのか 宇宙ニュートリノ多重事象に対する初めての可視光追観測
2025年10月23日『The Astrophysical Journal』誌に論文掲載および10月24日プレスリリース
2025.10.27
宇宙を飛び交う極めて高エネルギーの陽子や電子、ニュートリノといった粒子の起源は天文学・宇宙物理学の長年の未解決問題です。こうした高エネルギー粒子の供給源として、超新星爆発や超巨大ブラックホールによる潮汐破壊現象などの「爆発的天体」が有力視されています。しかし、爆発的天体がエネルギー供給源であるという仮説はこれまで十分に検証されていませんでした。
東北大学 大学院理学研究科 敏蔭星治 大学院生、学際科学フロンティア研究所 木村成生 准教授、大学院理学研究科 田中雅臣 教授らの研究グループは、IceCube実験により検出されたニュートリノ多重事象に対して、初めて同時刻・同方向の可視光広視野観測データを詳細に解析することで、ニュートリノ多重事象の起源天体を探査しました。
その結果、ニュートリノ多重事象の到来時刻・方向には超新星爆発や潮汐破壊現象などの候補天体が存在しなかったことが明らかになり、ニュートリノ多重事象の起源となり得る爆発的天体の明るさや時間スケールにこれまでの観測よりも強い制限を与えられることを示しました。
本研究成果は、2025年10月23日付(日本時間)で「The Astrophysical Journal」に掲載されました。

図:IceCube実験により決定された高エネルギーニュートリノの到来方向を肉眼で見える夜空(視野角100度、Stellariumにより作成)に重ねて表示したもの。右は可視光望遠鏡により撮影された到来方向の拡大画像であり、赤色の楕円はIceCubeにより決定された到来方向の1σ誤差領域を示す。(画像提供:Zwicky Transient Facility)。
【論文情報】
タイトル:The First Search for Astronomical Transient as a Counterpart of a Month-timescale IceCube Neutrino Multiplet Event
著者:Seiji Toshikage*, Shigeo S. Kimura, Nobuhiro Shimizu, Masaomi Tanaka, Shigeru Yoshida, Wataru Iwakiri, Tomoki Morokuma
*責任著者:東北大学 大学院理学研究科 敏蔭星治 大学院生
掲載誌:The Astrophysical Journal
DOI:10.3847/1538-4357/adfedf
URL:https://doi.org/10.3847/1538-4357/adfedf