東北大学
学際科学フロンティア研究所

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リビングラボを用いて思考実験と経験的洞察の統合で新学際研究領域「責任あるロボティクス」へ

2025年12月11日『IEEE Robotics & Automation Magazine』誌に論文掲載および12月17日九州大学にてプレスリリース

2025.12.22

学際科学フロンティア研究所の翁岳暄准教授(九州大学高等研究院稲盛フロンティアプログラム(クロスアポイントメント))の研究成果が、アメリカの雑誌「IEEE Robotics & Automation Magazine」に2025年12月11日付で掲載されました。
 
本研究成果のポイント:
  1. AIのペーシング問題によって引き起こされる知能ロボット規制のギャップを克服するための革新的なデザイン主導型ガバナンスとして、ロボット倫理の標準化と規制におけるリビングラボの新たな応用を探求することを目的としています。
  2. 本研究の内容は現実世界において発生するロボットの倫理的、法的、社会的課題(ELSI)を対象として、九州大学におけるLOVOT人間型ロボットのプライバシー保護問題と東北大学における「優しい嘘」をつく知能ロボットの倫理配慮問題に基づくリビングラボを用いて高次哲学的考察とHRI実験を統合した業界初ハイブリッドAI倫理影響評価方法論を提案しました。
  3. 九州大学高等研究院と東北大学学際科学フロンティア研究所の戦略的連携で、福岡と仙台の両ハブの上に構築された総合知・超学際組織リサーチ・ネットワークROBOLAW.ASIA (https://www.robolaw.asia)を通してIEEE P7017リビングラボと青葉山リビングラボを活用し新学際研究領域「責任あるロボティクス」の促進が期待されます。
 
研究成果の概要:
ロボットが日常生活に統合されると、人間との相互作用に起因する複雑な倫理的、法的、社会的課題(ELSI)が生じます。ソーシャルロボットは、文化的規範、感情、社会的手がかりが豊富な環境で動作するため、プライバシー、信頼、安全性に関する重要な問題を提起します。本研究では、九州大学高等研究院の翁岳暄准教授(東北大学学際科学フロンティア研究所(クロスアポイントメント))、同大学大学院法学府のDavid Torabi(デイビッド トラビ)院生、オスロ大学大学院情報科学研究科のJim Torresen(ジム トレセン)教授、東北大学大学院工学研究科の董宗昊特任助教、東北大学大学院工学研究科の平田泰久教授らの協力のもとロボット倫理学という学際的な分野が、思考実験と実証研究を組み合わせたハイブリッドな方法論的概念を通じて、これらの課題をどのように対処できるかを探ります。思考実験は、倫理的なジレンマを体系的に分析するための枠組みを提供します。一方、実証的な方法は、こうした理論を現実世界で検証し、より洗練させるための洞察を与えます。
本論文では特に、ロボットが倫理的な期待や法的基準に適合することを確保するために、倫理設計の原則をロボット設計に組み込み、テストする場として「リビングラボ」を活用する重要性を強調しています。
 

【論文情報】
掲載誌:IEEE Robotics & Automation Magazineロボット倫理特集
IEEE Robotics & Automation Magazine | Current Volume | IEEE Xplore
タイトル:Bridging Ethics and Reality: Integrating Thought Experiments and Empirical Insights in Robot Ethics
著者名:Y. -H. Weng, D. Torabi, J. Torresen, Z. Dong and Y. Hirata
DOI:10.1109/MRA.2025.3584352
 
プレスリリース:
九州大学
 
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