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アミロイドの“種類”が睡眠と脳活動を左右する ~線維化Aβ40と線維化Aβ42がマウスの睡眠・皮質脳波に異なる影響~
2026年2月25日『Biophysical Chemistry』誌に論文掲載および3月4日プレスリリース
2026.03.04
北海道大学大学院理学研究院の常松友美准教授らの研究グループは、東北大学学際科学フロンティア研究所の佐栁友規学術研究員(研究当時)、奥村正樹准教授、韓国基礎科学研究所の李映昊教授らとともに、アルツハイマー病の原因物質として知られる線維化アミロイドベータ(Aβ)が、マウスの睡眠と脳波活動(皮質オシレーション)に及ぼす影響が、線維化Aβの種類によって大きく異なることを明らかにしました。
アルツハイマー病では記憶障害などの症状に加えて睡眠障害がしばしば報告されますが、その神経生理学的メカニズムは十分に解明されていませんでした。本研究では代表的な2種類の線維化Aβ(線維化Aβ1-40、線維化Ab1-42)をマウス脳内に一度だけ投与し、その後の睡眠・覚醒状態及び脳波活動を解析しました。その結果、線維化Aβ40投与群では睡眠時間の大きな変化は少ない一方で覚醒時の脳波に変化が見られ、線維化Aβ42投与群ではレム睡眠が減少するなど睡眠構造自体に顕著な変化が見られました。これらの結果は、線維化Aβが一様に睡眠を障害するのではなく、線維化Aβの種類に応じて異なる病態メカニズムで睡眠及び脳活動を変調する可能性を示しています。本成果は、アルツハイマー病に伴う睡眠障害の理解に貢献し、今後の病態解明や治療戦略の検討につながることが期待されます。
なお、本研究成果は、2026年2月25日(水)公開のBiophysical Chemistry誌にオンライン掲載されました。

図:線維化Aβの種類による睡眠と脳活動への影響の違い。線維化Aβ40または線維化Aβ42をマウス海馬へ両側投与し、睡眠・覚醒状態及び皮質脳波活動(皮質振動)を解析した。両群で皮質脳波の変化が認められたが、線維化Aβ42ではレム睡眠の減少に加え、神経細胞脱落が示唆された。
【論文情報】
タイトル:Amyloid fibrils in Alzheimer’s disease differently modulate sleep and cortical oscillations in mice depending on the type of amyloid(アルツハイマー病関連アミロイド線維は、その種類によってマウスの睡眠と皮質脳波活動を異なる形で変化させる)
著者:佐栁友規1、奥村正樹1、Yuxi LIn2、金村進吾1、Euuyoung Moon3、Yunseok Heo2、髙原桂
子1、李 映昊1, 2, 4, 5, 6、常松友美1, 7(1東北大学学際科学フロンティア研究所、2韓国基礎科学研究所タンパク質構造・創薬機構研究センター、3韓国基礎科学研究所電子顕微鏡研究センター、4韓国科学技術院バイオ分析科学、5忠南大学校分析科学技術大学院、6中央大学校
システムバイオテクノロジー学科、7北海道大学大学院理学研究院)
掲載誌:Biophysical Chemistry(生物物理化学の専門誌)
DOI:10.1016/j.bpc.2026.107599