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野内 類 助教(新領域創成研究部)
2016.09.01
野内 類 助教(新領域創成研究部)
『Scientific Reports』に論文掲載
行動や感情を制御する能力であるエフォートフル・コントロール(Effortful control:EC)は、様々な心理的な適応や認知機能の個人差を反映しています。ECは、1)行動を抑制する能力である行動抑制の制御と 2)行動を回避したい場合でもそれを実施する能力である行動始発の制御と 3)集中したりする能力である注意の制御の3つに分けることができます。
これまでの研究から、ECは様々な認知機能や精神的な健康状態などと関係していることが分かってきています。しかしながら、ECの神経基盤についてはいまだ明らかにされていませんでした。
新領域創成研究部の野内類助教は、680人の大学生を対象にECと関係する脳部位を脳の体積を調べるVBM(voxel-based morphometry)という解析手法を用いて調べました。
その結果、1)行動抑制の制御の得点が高いほど前帯状回の灰白質と白質の体積が多く、2)行動始発の制御の得点が高いほど島と被核の灰白質の体積が少なく、3)注意の制御の得点が高いほど下前頭回や眼窩前頭皮質などの前頭葉の白質などの体積が多いことが明らかになりました。
本研究は、加齢医学研究所の応用脳科学研究分野(教授:川島隆太)と認知機能発達寄付研究部門(准教授:竹内光)を中心とする研究グループとの共同研究の成果です。