東北大学
学際科学フロンティア研究所

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増本 博 教授(先端学際基幹研究部)

2017.09.25

増本 博 教授(先端学際基幹研究部)

『Applied Physics Letters』に論文掲載


増本博教授グループ(先端学際基幹研究部・物質材料・エネルギー領域)の曹 洋 博士(教育研究支援者)は、従来のトンネル磁気誘電効果材料の8倍高感度な磁気誘電特性を発現するCo/AlF系ナノグラニュラー薄膜の開発に成功し、科学誌Applied Physics Lettersに発表しました。
本研究室グループでは、2014年に全く新しい発想による多機能性材料である『トンネル磁気誘電(TMD: Tunneling Magneto-Dielectric)効果』材料の開発に成功しました。開発した材料は、ナノグラニュラー材料と呼ばれるナノ磁性粒子を誘電相中に分散させた金属と絶縁体の2相からなる薄膜誘電体材料であり、大きな誘電率を発現すると同時に、室温で磁界により誘電率が変化します。これまでの誘電体材料の研究は主として結晶性セラミックスを用いたマルチフェロイックスと言われる多機能性の材料が注目され、磁界による誘電率の応答特性の研究が盛んに行われています。しかしながら、その応答特性はマイナス170℃程度の極低温でなければ発現せず、実用デバイスに使用することは不可能でした。本研究グループにより開発された材料は、誘電体中にナノメーターサイズの磁性粒子を均一分散させることで、室温で大きな磁化を有すると共にナノ量子効果による新しい磁気-誘電特性を示します。本論文では、二次元化されたCo/AlFナノグラニュラー薄膜を作製することにより、本研究室グループが見いだしたTMD効果を、低磁界でも高感度に発現(約8倍)することに成功しました。このことにより、チューナブルコンデンサの小型化などへの応用が期待できます。

本成果は、日本学術振興会 科学研究費補助金 基盤研究(B) の助成を受け、公益財団法人電磁材料研究所との共同研究によるものです。

論文情報:
Yang Cao, Nobukiyo Kobayashi, Yiwen Zhang, Shigehiro Ohnuma, and Hiroshi Masumoto "Enhancement of low-field magneto-dielectric response in two-dimensional Co/AlF granular films." Applied Physics Letters 110, 072902 (2017); doi: 10.1063/1.4976743

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