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「ヒトの社会行動を支える脳計算メカニズムの研究」
2017.04.27
鈴木 真介 助教(新領域創成研究部)
「ヒトの社会行動を支える脳計算メカニズムの研究」
平成29年度 文部科学大臣表彰若手科学者賞
新領域創成研究部の鈴木真介助教は、『平成29年度 科学技術分野の文部科学大臣表彰若手科学者賞』を受賞しました。受賞の対象となった研究業績の概要は、以下の通りです。
我々ヒトは社会的動物であり、社会の中で他者と陰に陽に相互作用しながら生きています。では、その高度な社会性はどのような脳の計算(情報処理)に支えられているのでしょうか?ヒトを対象にした認知神経科学の進展により「何らかの形でヒトの社会性に関わる」脳領域がリストアップされつつありますが、それぞれ脳領域が「どのような計算を担っているのか?」はよく分かっていませんでした。鈴木真介助教は、一連の研究において、機能的MRIを用いた非侵襲的脳イメージング法を強化学習、ベイズ推定といった機械学習・計算論的手法と組み合わせることで、ヒトの社会行動において「どのような脳領域がどのような計算処理を担っているのか」を明らかにしました。具体的には、「他者行動の予測(Suzuki et al., 2012)」、「他者との合意形成(Suzuki et al., 2015)」について、実験中のヒト被験者の行動パターンを再現し得る数理モデルを構築し、そのモデルを機能的MRIで測定した脳活動と比較検証することで、「脳のどの領域でどのような計算処理が行われているのか」を解明しました。
略歴
1980年、兵庫県西宮市生まれ。
筑波大学大学院システム情報工学研究科修了・博士(社会経済)。
理化学研究所、カリフォルニア工科大学を経て、2016年より現職。