東北大学
学際科学フロンティア研究所

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3層グラフェンにおける積層パターンの作り分けに成功 -グラフェンデバイス応用へ新たな道-

2018.02.16

プレスリリース

3層グラフェンにおける積層パターンの作り分けに成功 -グラフェンデバイス応用へ新たな道-

『NPG Asia Materials』に論文掲載、および報道発表
AIMR 高橋 隆 教授(学際研究重点プログラム)
3層グラフェンの積層構造の模式図。(a)ABA積層構造、(b)ABC積層構造
 
本研究所の2015-2017年度学際研究重点プログラムを実施している材料科学高等研究所(AIMR)高橋 隆教授の研究グループは、炭素原子が蜂の巣状に結合した原子シート(グラフェン)が3枚積層した3層グラフェンにおいて、2種類存在する積層パターン(ABAおよびABC構造)の作り分けに初めて成功しました。電子状態の精密な測定から、ABA構造をもつ3層グラフェンでは、質量ゼロの超高速電子(ディラック電子)が存在する一方、ABC構造ではディラック電子は存在せず、有限の質量を持つ自由電子的な電子状態が実現されていることを見出しました。この結果は、3枚重なったグラフェンの積層パターンを変化させて、異なる電気的特性を持つグラフェンを作り分けられることを示しています。今回の成果は、グラフェンの積層構造を制御した高機能ナノデバイスの開発に大きく貢献するものです。
本成果は、平成30年2月9日に英国科学誌Nature系の専門誌NPG Asia Materialsのオンライン速報版で公開され、同日本学よりプレスリリースされました。
 
論文情報:
K. Sugawara, N. Yamamura, K. Matsuda, W. Norimatsu, M. Kusunoki, T. Sato, and T. Takahashi, "Selective fabrication of free-standing ABA and ABC trilayer graphene with/without Dirac-cone energy bands", NPG Asia Materials (2018)10, e268,
DOI: 10.1038/am.2017.238
 
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