東北大学
学際科学フロンティア研究所

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野田博文 助教「Publications of the Astronomical Society of Japan」に論文掲載

2018.04.16

野田博文助教(新領域創成研究部)が所属する研究グループは、X線天文衛星「ひとみ」搭載の「精密軟X線分光装置 」で観測した活動銀河核「NGC 1275」のX線データを解析しました。活動銀河核とは、太陽の10億倍もの質量を持つ「巨大ブラックホール」に大量のガスが飲み込まれることで、それらの物質がX線をはじめとする様々な波長の光を放射する天体です。
本研究では、過去最高の分光性能を持つX線マイクロカロリメータを用いて、中性の鉄原子からのKα蛍光輝線(6.4キロ電子ボルト)を史上初めて精密に分光することに成功しました。その結果、蛍光輝線の幅や強度を詳細に調べることができたことで、放射源となっているガスがおよそ500–1600 km/sの速度で運動していることを突き止めました。これは、巨大ブラックホールから離れた分子ガスのケプラー運動の速度に相当することから、巨大ブラックホールの近辺で生じたX線が比較的遠方の領域まであまり遮蔽されることなく到達することが判明し、巨大ブラックホールに飲み込まれるガスの構造に強い制限を与えることに成功しました。
 
本研究成果は2018年4月11日「Publications of the Astronomical Society of Japan (PASJ)」のオンライン版に掲載されました。
 
論文情報:
Hitomi collaboraiton, “Hitomi observation of radio galaxy NGC 1275: The first X-ray microcalorimeter spectroscopy of Fe-Kα line emission from an active galactic nucleus", Publications of the Astronomical Society of Japan, Volume 70, Issue 2, 1 March 2018, 13,
DOI: https://doi.org/10.1093/pasj/psx147
 
 
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