東北大学
学際科学フロンティア研究所

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下西隆助教『The Astrophysical Journal』に論文掲載

7月27日『The Astrophysical Journal』に論文掲載

2018.08.01

太陽系が誕生するよりも遙か昔の宇宙において、現在の私たちが住む天の川銀河内で見つかっているような、水や有機物などの生命誕生の材料となり得る物質は存在していたのでしょうか?
 
新領域創成研究部の下西隆助教は、筑波大学、東京大学、理化学研究所、国立天文台の研究者らと共に、世界最大の干渉計型電波望遠鏡アルマを用いて、天の川銀河の近くに位置する系外銀河「小マゼラン雲」の中に存在する生まれたばかりの星(原始星)を観測しました。その結果、世界で初めて小マゼラン雲において、星間空間に存在する大型有機分子の一種であるメタノールを発見しました。小マゼラン雲は、重元素量 (星間空間に存在する炭素や酸素などの比較的重い元素の水素に対する割合)という点で、過去の宇宙に存在した銀河に共通する環境的特徴を持っています。
 
本研究は、生命の材料となり得る有機分子が、天の川銀河とは極めて異なる環境を持つ銀河においても生成されていることを発見し、過去の宇宙に類似した環境下における星や惑星の材料物質の分子化学的多様性の一端を明らかにした重要な発見です。
 
本研究成果は、国際学術誌" The Astrophysical Journal"において2018年7月27日に掲載されました。
 
論文情報:
Takashi Shimonishi, Yoshimasa Watanabe, Yuri Nishimura, Yuri Aikawa, Satoshi Yamamoto, Takashi Onaka, Nami Sakai, and Akiko Kawamura, “A Multiline Study of a High-mass Young Stellar Object in the Small Magellanic Cloud with ALMA: The Detection of Methanol Gas at 0.2 Solar Metallicity", ApJ, 2018, 862, 102
DOI: 10.3847/1538-4357/aacd0c
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