東北大学
学際科学フロンティア研究所

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市川幸平 助教『The Astrophysical Journal』に論文掲載

2019.09.18

太陽の8倍以上の質量を持つ大質量星はその誕生から死に至るまで多様な形で周辺の星々に影響を与えるとともに、超新星爆発で放出される重元素を通じて銀河や宇宙の進化にも関わる重要な天体です。その一方で、大質量星がどのように形成されるのかは不明点が数多く残されているのが現状です。その理由として、数の少ない大質量星は比較的遠方にあり、またガスや塵に埋もれた状態で誕生するので、地上から観測のしやすい可視光線や近赤外線などの波長ではその内部を細部まで見通すことが難しいことが挙げられます。
 
新領域創成研究部の市川幸平助教は、内山瑞穂研究員(国立天文台)と共同で、赤外線全天観測衛星WISEのアーカイブデータを用いることで、赤外線大質量原始星カタログおよそ800天体の中から顕著な中間赤外線光度変動を示す天体を5つ発見しました。中間赤外線はガスや塵に対する吸収に強く、今回発見された中間赤外線光度変動は細部をいままで直接見られなかった天体やその周辺で起こる天体現象の情報を色濃く反映しています。今回の研究によって初めて中間赤外線で大質量原始星の光度変動現象が網羅的に探査され、最低でも1.5%以上の大質量原始星が中間赤外線で光度変動を示すこと、そのパターンや原因は太陽のような軽い星と同様に多彩である可能性が示唆されました。
 
本研究は、北海道大学、東北大学、名古屋大学によるコンソーシアム「次世代研究者育成プログラム」の支援により行われ、その研究成果をまとめた論文が2019年9月17日「The Astrophysical Journal (ApJ)」のオンライン版に掲載されました。
 
論文情報:
Mizuho Uchiyama and Kohei Ichikawa, “WISE Discovery of Mid-infrared Variability in Massive Young Stellar Objects”, The Astrophysical Journal
DOI: 10.3847/1538-4357/ab372e
URL: https://iopscience.iop.org/article/10.3847/1538-4357/ab372e
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