東北大学
学際科学フロンティア研究所

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市川幸平 助教『The Astrophysical Journal Letters』に論文掲載

2019.09.20

宇宙には数多くの銀河がありますが、それぞれの銀河の中心には太陽質量の100万倍から100億倍にもおよぶ超巨大ブラックホール (supermassive black hole; SMBH) が存在することが知られています。このSMBH自体は光を出すことがないため観測することは困難ですが、まわりにあるガスがSMBHに落ちはじめると、その重力エネルギーを開放することで非常に明るく輝くことが知られています。このような天体を活動銀河核と言い、今まさしくSMBHが太っている現場であることからSMBH質量の起源をさぐる重要天体として長らく観測がされてきました。それにも関わらず、この活動銀河核がどの程度のあいだ活動するのか (=ものを食べて太るのか) は観測的には制限がついておらず、それどころか活動をはじめたり、また活動をやめる現場さえも観測的には今まで見つかっていませんでした。
 
新領域創生研究部の市川幸平助教は川室太希 JSPS fellow (国立天文台) らと共同で、Arp 187という銀河に今まさしく活動をやめた活動銀河核が存在することを明らかにしました。NASA NuSTAR X線衛星の観測と多波長観測データを合わせることで、この活動銀河核は現在すでに活動をやめており、過去1000-1万年の間におよそ1000-1万倍ほど光度を落としたことがわかりました。このような急速な光度変動は過去に知られておらず、活動銀河核へのガス降着を急激に少なくする必要があることから、ガス降着は非連続的に起きることを示唆しています。
 
本研究は、北海道大学、東北大学、名古屋大学によるコンソーシアム「次世代研究者育成プログラム」の支援により行われ、その研究成果をまとめた論文が2019年9月19日「The Astrophysical Journal Letters (ApJL)」のオンライン版に掲載されました。
 
論文情報:
Kohei Ichikawa, Taiki Kawamuro, Megumi Shidatsu et al., "NuSTAR Discovery of Dead Quasar Engine in Arp 187", The Astrophysical Journal Letters.
DOI: 10.3847/2041-8213/ab3ebf
URL: https://iopscience.iop.org/article/10.3847/2041-8213/ab3ebf
 
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