東北大学
学際科学フロンティア研究所

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ブラックホールジェット中で雷が起こる条件を数値シミュレーションで究明

2020年10月14日 『The Astrophysical Journal』オンライン版に論文掲載

2020.10.15

 宇宙に多く存在しているブラックホールには、ほぼ光速の噴流(ジェット)が観測されるものがあります。そのエネルギーは莫大で、巨大な爆発現象を誘発したり銀河進化に影響を与えたりします。イベント・ホライズン・テレスコープによるブラックホール影の観測で話題になったM87銀河のブラックホールにも、ジェットが付随しています。ブラックホールからは物質は決して出てこられないので、ジェットの物質の起源は大きな謎となっています。
 一つの可能性として、ブラックホールのごく近傍で雷のような放電現象が起き、大量のプラズマを生成する機構が考えられています。この時、激しく時間変動する超高エネルギーのガンマ線の放射を伴うため、この検出によりジェットの物質起源の検証が期待されています。

 今回、学際科学フロンティア研究所の木坂将大 学術研究員(當真グループ, 現広島大学)と當真賢二 准教授(先端学際基幹研究部)は、Amir Levinson教授(テルアビブ大学)と共同で、粒子シミュレーションを行うことで放電現象が起こる条件やガンマ線の明るさとブラックホール周囲の物理状態の関係を明らかにしました。本研究をもとに、今後のガンマ線望遠鏡やイベント・ホライズン・テレスコープによる将来の観測データと組み合わせることで、ジェットの物質起源の解明が期待されます。

 本研究成果をまとめた論文が2020年10月14日に「The Astrophysical Journal」のオンライン版に掲載されました。
 
論文情報
タイトル:Comprehensive Analysis of Magnetospheric Gaps around Kerr Black Holes Using 1D GRPIC Simulations
著者名: Shota Kisaka, Amir Levinson, Kenji Toma
掲載誌: The Astrophysical Journal
https://doi.org/10.3847/1538-4357/abb46c
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