東北大学
学際科学フロンティア研究所

学際研オンラインオープンキャンパス 2022

ようこそ学際研(がくさいけん)へ!

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    学際科学フロンティア研究所(学際研)は、異分野融合学際研究により新たな知と価値を創出し、より豊かな人類社会の発展に貢献することを目的としたユニークな研究拠点です。あらゆる学術領域を対象として学際融合研究を推進する若手研究者を、東北大学における全学的な協力のもとに育成しています。
     
    異分野から集まった教員による先端学際研究では、新奇機能性材料の研究開発、特徴的な性質を持つ材料のデバイス応用などが進んでおり、研究成果を基にした企業との共同研究も活発です。生命科学、宇宙物理学においても、際立った成果が挙げられています。
     
    学際研はこれからも若手研究者が世界トップレベルで研究を推進する志を支え、異分野研究者交流やネットワークづくり、研究成果の発信のサポートにも注力します。
     
    みなさんも学際研で新しい研究にチャレンジしませんか?

研究ハイライト

  • 妊娠中の運動が子の肥満を防ぐ仕組みを解明
    胎盤由来SOD3タンパク質が胎子肝臓に誘導する「一挙両得」な効果
     
    母親の肥満は子の将来の糖尿病リスクを増加させることが知られています。この世代間連鎖は、子に生まれつきの健康格差を強いる重大な原因となるため、母親から子への肥満の悪循環を防ぐ効果的な手段の確立が望まれています。
     
    学際研の楠山譲二助教らのグループは、マウスを使った実験の結果、妊娠期の運動が親から子への肥満の伝播を防ぐメカニズムを解明しました。本研究は、胎盤から産生されるスーパーオキサイドジスムターゼ3(SOD3)のユニークな機能を明らかにした重要な報告です。
     
  • 酵素反応が可能な細胞サイズの相分離DNAカプセルの構築に成功
    多機能な細胞型分子ロボット・人工細胞の構築に期待
     
    細胞のようなマイクロ(100万分の1メートル)サイズの小さな機能的システムを作るためには、自己の内外を隔てる区画構造(カプセル構造)が重要です。従来の研究では、人工細胞膜がカプセル構造として用いられてきました。しかし、人工細胞膜を構成するリン脂質は、設計性に乏しいという弱点がありました。
     
    学際研の佐藤佑介助教(現在九州工業大学准教授)らの研究グループは、情報分子DNAを人工的に設計することで、細胞サイズのカプセル構造「DNAカプセル」の構築に成功しました。DNAカプセルの表面には相分離現象で形成された“模様”(水玉やストライプ)があり、模様を利用してDNAカプセルの一部に望みの機能(分子計算機や分子駆動装置)を導入することなどが期待できます。また、研究グループは、DNAの塩基配列設計や混ぜる量などを変えることで、カプセル表面の模様を変えられることを初めて実証しました。さらに、人工細胞膜の裏側にDNAカプセルを形成したり、酵素によりDNAカプセルを分解できたりすることも示しました。これらの成果は、将来的に、薬剤送達システム(DDS)や医療用分子ロボットの開発、人工細胞の構築などへ寄与が期待できます。
     
  • 静穏な超巨大ブラックホールからの高エネルギー粒子
    ~天体ニュートリノと天体ガンマ線の発生源を新たに提唱~
     
    宇宙はニュートリノやガンマ線といった高エネルギー粒子で満たされており、それらは宇宙ニュートリノ背景放射や宇宙ガンマ線背景放射として観測されています。それらの高エネルギー粒子の起源天体や生成機構はまだよくわかっていません。
     
    学際研の木村成生研究員(現在、学際科学フロンティア研究所助教)らの研究チームは、「静穏な」超巨大ブラックホールがそれらの起源であるという説を新たに提唱しました。ほぼ全ての銀河の中心には超巨大ブラックホールが存在すると考えられており、銀河内部の星間ガスがブラックホールへと落ち込むと、さまざまな波長の電磁波を放射して活動銀河核として観測されます。木村氏らは落ち込むガスの量が少ない暗い活動銀河核でのブラックホール周囲の物質状態をX線観測データを用いて理論的に考察し、電子が100億度まで加熱されて効率的に100万電子ボルト程度のガンマ線を放射することを明らかにしました。また、そこでは高エネルギーニュートリノも効率的に生成され、そこから放射されるガンマ線とニュートリノが地球での観測データを自然に再現できることも示しました。今後、観測・実験技術の進歩により暗い天体の理解が進み、宇宙を満たす高エネルギー粒子起源の解明に繋がることが期待されています。
     
  • Li内包フラーレンの超原子電子軌道の直接観察に成功
    〜新たな有機エレクトロニクスへ〜
     
    リチウム(Li)内包フラーレン(Li@C60)は、炭素原子(C)60個がサッカーボール状に連なった分子の内部にLiイオンを内包した構造を持ち、次世代の有機エレクトロニクス材料として期待されている材料です。近年、Li@C60に関して、超原子電子軌道(SAMO)と呼ばれる、分子外部に大きく広がった特異な電子軌道が注目されています。薄膜などのLi@C60の集合体では、SAMOは固体全体に広がることができるため、この軌道を利用した電子の伝導が実現できれば、高効率の有機トランジスタや有機太陽電池など、新たな有機エレクトロニクスの可能性が拓けます。
     
    金属内包フラーレンは、フラーレン研究の初期から長く研究が続けられてきましたが、材料の高純度化が非常に困難であり、特に高純度のLi@C60の薄膜はこれまで実現できていませんでした。学際研の上野裕助教は、筑波大学およびイデア・インターナショナル株式会社との共同研究において、材料と蒸着技術の最適化により、高純度のLi@C60薄膜の作製に初めて成功しました。この薄膜を走査トンネル顕微鏡で観察したところ、Li@C60が極めて均一に、秩序的に配列している様子が分かりました。また、このような高い純度と秩序構造を持つLi@C60薄膜の電子状態を分子レベルで計測した結果、Li@C60のSAMOが、理論による予測通りに、薄膜全体に広がっていることを突き止めました。本研究成果は、いまだ始まったばかりである分子固体のSAMOに対する基礎研究における重要な第一歩であり、SAMOを利用した新原理に基づく有機エレクトロニクスの開拓につながることが期待されます。
     

動画で見る学際研

 
 
学際科学フロンティア研究所「先端的学際研究の推進」
 
学際科学フロンティア研究所「学内学際研究の発掘」
 
学際科学フロンティア研究所「若手研究者の育成」
 
学際科学フロンティア研究所「3つの柱 FRIS Triangle」

研究者インタビュー

  • ボーダーを越えて
     
    学際研は「学際的研究の開拓・推進によって新たな価値を創出し、人類社会に貢献すること」を目的としています。そのコンセプトを所属研究者によって語り、考える企画が連載インタビュー『ボーダーを越えて』です。
     
    それぞれの研究人生に触れながら、「自分が体験した学際的な活動」を語ります。学際研の理念と実態を浮き彫りにすると同時に、学際研のメンバーが対話を通じてこれからの組織のあり方を考えます。
     

パンフレット

日本語版 / Japanese 2022年度 / 2022 [2022.06 update]
英語版 / English 2021年度 / 2021 [2021.10 update]

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