学際研オープンキャンパス 2025
ようこそ学際研(がくさいけん)へ!
Welcome to FRIS (Frontier Research Institute for Interdisciplinary Sciences) !
-
学際科学フロンティア研究所(学際研)は、異分野融合学際研究により新たな知と価値を創出し、より豊かな人類社会の発展に貢献することを目的としたユニークな研究拠点です。
学際研には、さまざまな学術領域の研究者が集まり、新規機能性材料の開発・デバイス応用、ブラックホールが引き起こす極限的現象の解明、細胞機能の研究による神経変性疾患へのアプローチなど、「学際研ならでは」の多彩な研究が展開されています。また、異分野融合から生まれた基礎研究の成果をもとに、企業との共同研究も活発に進められています。
このような特色ある研究環境のもと、若手研究者の挑戦を支援し、異分野研究者の交流やネットワーク形成、研究成果の発信にも力を入れています。
皆さんも学際研の雰囲気に触れ、最先端の研究を体験してみませんか?
現地イベント情報
-
学際研では現地にて研究所紹介とFRIS URO学生交流会を行います。
東北大学オープンキャンパスにお越しになる際は、是非、お立ち寄りください。
【開催日時】
・2025年 7月 30日(水)10:30~14:30
・2025年 7月 31日(木)10:30~14:30【内容】
・学際研の研究所紹介(VRによる研究施設見学など)
・FRIS URO学生交流会(FRIS URO学生・教員による研究ポスター発表、FRIS URO模擬体験)
学生交流会ではFRIS URO学生が学際研教員とともにどんな研究を行なっているのかをご紹介いたします。
興味を引いた研究ポスターの前に足を止めて、自由な議論をお楽しみください。FRIS URO 模擬体験では以下のプログラムに参加できます。【問合せ先】
学際科学フロンティア研究所 事務室
Email: somu[at]fris.tohoku.ac.jp( [at] を@に置き換えてください )
研究ハイライト
-
二酸化炭素から高効率で還元剤のシュウ酸を合成する技術を開発 ─ Net-Zero-Emission型製鉄法が実現に期待 ─環境負荷の観点から、CO2排出量の削減および資源利用が産学問わず求められています。CO2から誘導されるギ酸塩は高温条件で二量化し、植物などにも含まれる有機酸であるシュウ酸となることが知られています。しかし二量化反応の過程で生成したシュウ酸の熱分解を伴うため、効率的な二量化を達成するための反応条件の探索が求められていました。東北大学学際科学フロンティア研究所の田原淳士助教は、九州大学先導物質化学研究所の工藤真二准教授、林潤一郎教授らと共同で、CsOHを添加した際に高収率でシュウ酸が生成することを見出しました。得られたシュウ酸は還元剤として利用可能であり、特に鉄鉱石から還元鉄を得る製鉄法において、コークスを還元剤とする現行法と比較して大幅なCO2排出量の低下が可能な次世代還元剤としての利用が期待されます。図:二酸化炭素からの誘導体であるギ酸塩を用いたシュウ酸合成において、水酸化セシウムを添加すると収率が向上することを見出した。
-
次世代形状記憶合金の相変態機構を解明 ~形状回復とエネルギー吸収性能を活かした応用に期待~国立大学法人東北大学学際科学フロンティア研究所と株式会社ElevationSpaceが取り組む、高い安全性と低コストを両立するハイブリッドスラスタ実現に向けた共同研究について、2023年10月~2024年2月にかけて、国立研究開発法人宇宙航空研究開発機構の協力のもと実施した、実機に近い試験モデルによる燃焼試験に成功したことをお知らせします。
軌道離脱を実現するような高い推力と、小型衛星に搭載可能な大きさ、経済性、安全性を兼ね備えるハイブリッドスラスタは、世界でも宇宙実証に至っている例がなく(※1)、ElevationSpaceが2025年に打ち上げを予定している無人小型衛星で世界に先駆けた実用化を目指します。
本ハイブリッドスラスタは、打ち上げ数の急増する小型衛星市場で高い需要が見込まれるほか、月以遠への高頻度な宇宙探査実現にも寄与すると考えられ、我が国の宇宙産業市場の拡大や宇宙開発領域における国際競争力向上のため、研究開発を加速していきます。次世代の形状記憶合金として期待されるCu-Al-Mn系形状記憶合金は、原料が安価で加工しやすく、良好な超弾性を発現することから、耐震用構造材料や医療用デバイスなど幅広い分野での応用が期待されています。近年、この合金を単結晶化すると大きな形状回復を示すことが報告されていましたが、そのメカニズムは明らかとなっていませんでした。長崎大学大学院総合生産科学研究科の赤嶺大志准教授(前九州大学大学院総合理工学研究院 助教)と、九州大学大学院総合理工学府修士2年の高松凌氏(研究当時。現株式会社デンソー)、九州大学の西田稔名誉教授、東北大学学際科学フロンティア研究所の許勝助教、東北大学大学院工学研究科の大森俊洋教授、貝沼亮介教授、東北大学国際放射光イノベーション・スマート研究センターの二宮翔助教、西堀麻衣子教授、株式会社古河テクノマテリアル(神奈川県平塚市、花谷健社長)の喜瀬純男博士らの共同研究グループは、電子顕微鏡観察と放射光X線回折測定を通じて、単結晶Cu-Al-Mn合金では多段階のマルテンサイト変態(注4)が生じていることを明らかにしました。また、この多段階のマルテンサイト変態が進行すると、相変態に伴うエネルギー吸収量が増大することがわかりました。本研究の成果は、相変態の制御を通じてCu-Al-Mn系形状記憶合金のエネルギー吸収性能を自在に制御できる可能性を示すもので、制振材料や耐震用の土木・建築用材料等への幅広い応用が期待されます。図:透過電子顕微鏡による結晶構造変化の観察結果 -
高輝度放射光を用いて高温超伝導体中の電子の振動を解明 超伝導発現機構の解明や転移温度を高める手がかりになると期待超伝導とは、ある特定の温度以下で金属の電気抵抗がゼロになり、電気がスムーズに流れるようになる現象です。多くの超伝導体はおよそ−200℃以下という非常に低い温度でしかこの性質を示さないため、より高い温度で超伝導を示す物質が望まれる一方、超伝導の発現機構と超伝導転移温度を高める指針は解明されていません。電気の流れや振動を詳しく調べることで、これらの課題を解決する手がかりが得られる可能性があります。東北大学学際科学フロンティア研究所の鈴木博人助教らの研究グループは、量子科学技術研究開発機構(QST)NanoTerasuセンター、兵庫県立大学、産業技術総合研究所、物質・材料研究機構などとの共同研究により、−163℃で超伝導を示す銅酸化物超伝導体のプラズマ振動の性質を解明しました。測定には、軟X線領域の放射光を試料に照射し、跳ね返ってきた光のエネルギーを調べる共鳴非弾性X線散乱(RIXS)を用いました。本研究は高温超伝導の発現機構に知見を与えるとともに、QSTがNanoTerasuの共用ビームラインにて開発したRIXS装置の世界最高水準の性能を実証するものです。図:本研究で測定した三層系銅酸化物Bi2Sr2Ca2Cu3O10の結晶構造。超伝導が発現する二次元的なCuO2面が三枚ずつ積み重なる構造を持つ。
-
温度と pH を同時にセンシングできる 多機能ファイバーデバイスを開発 〜生体内プローブやウェアラブルデバイスに展開目指す〜
温度は生理学や病理学上の生体反応において重要な役割を担っており、生体システムから細胞レベルまでの化学物質の動態と密接にかかわっています。生体内部温度のモニタリング技術は進展しているものの、局所的な温度変化と体内の化学物質の変化を同時に計測する技術は開発には至っていませんでした。
東北大学学際化学フロンティア研究所の郭媛元准教授、同大学工学部の久保稀央学部生、理学部の阿部茉友子学部生(学際科学フロンティア研究所ジュニアリサーチャー)らの研究チームは、熱延伸技術を用いることで、温度とpHの同時計測が可能である超微細ファイバーデバイスの開発に成功しました。
図. 熱延伸技術による超微細ファイバーデバイスの実現 -
複数のらせん状流路を持つポリマー製ファイバーの開発に成功 ─ 微量の細胞や粒子の混合や分離に使う微小遠心機への応用を目指す ─マイクロ流体技術はマイクロリットルスケールの流体を操作し応用する手法で、生命科学や化学、材料工学など多岐に渡る分野で利用されています。その中でも慣性力を利用して細胞や粒子のサイズによって分離したり混合したりするらせん型のマイクロ流路は、低コストで運用が容易なため、研究や実用現場で広く応用されています。
従来のマイクロ流体デバイスの多くは平面基板上に半導体製造技術のリソグラフィによって作製されています。しかし流路形状を細かく制御できる反面、材料の選択制限や製造工程の複雑さ、平面構造に限定されるといった課題が存在します。
東北大学学際科学フロンティア研究所の郭媛元准教授と工学部学部生の加藤駿典氏(学際研ジュニアリサーチャー)、沖縄科学技術大学院大学(OIST)のエイミー・シェン教授とダニエル・カールソン博士(当時研究員)で構成された学際的な研究チームは、これらの課題を解決するために、光通信ファイバーの製造技術である熱延伸法を改良し、卓上型回転熱延伸法(mini-rTDP)を開発しました。そしてこの新たな手法を利用して、三次元らせん型微小流路を持つポリマーファイバーを開発することに成功しました。
本研究成果は、学術誌Microsystems and Nanoengineeringに2024年1月22日付で掲載されました。本研究は主に沖縄科学技術大学院大学(OIST)SHINKAプログラム、東北大学のSHINKAのマッチングファンドの支援を受けて実施されました。 -
量子もつれを破壊しないで特性評価できるアルゴリズムを開発 ー量子情報処理のセキュリティー強化や情報処理能力向上に期待ー量子もつれは量子力学の基本概念であり、量子コンピューターは量子もつれの上に構築されています。同時に、量子コンピューターはその性質を調査し、明らかにするための強力なツールでもあります。東北大学学際科学フロンティア研究所のLe Bin Ho助教と英国ロンドンのパブリックスクールであるセント・ポールズ・スクールのHaruki Matsunaga氏は、量子コンピューターによる量子もつれの検出を強化し、もつれて(エンタングルして)いるかどうかを判定する手法のエンタングルメント・ウィットネスによる測定を最適化する、変分エンタングルメント・ウィットネス方式(VEW)を提案しました。従来の局所的な測定では量子もつれを破壊してしまうことがありますが、本研究では非局所的な測定法によって、量子もつれの破壊を引き起こすことなく量子特性を測定するアプローチを導入しました。量子もつれの検出と保護の両方を行う量子アルゴリズムが使われたのは今回が初めてです。本アルゴリズムは、量子コンピューター、量子通信、量子暗号などの分野で応用され、実社会における情報セキュリティ向上や情報処理能力の革新に寄与することが期待されます。図. 変分エンタングルメント・ウィットネス(VEW)方式の可視化。左:評価を待つ多くの量子状態が並んでいます。各状態はVEW法を使用して一つずつ分析されます。右:結果に基づいて、状態はもつれ部分空間(赤い楕円)または可分部分空間(青い楕円)に分類されます。
動画で見る学際研
|
学際科学フロンティア研究所「先端的学際研究の推進」
|
---|---|
学際科学フロンティア研究所「学内学際研究の発掘」
|
学際科学フロンティア研究所「若手研究者の育成」
|
学際科学フロンティア研究所「3つの柱 FRIS Triangle」
|
研究者インタビュー
-
ボーダーを越えて学際研は「学際的研究の開拓・推進によって新たな価値を創出し、人類社会に貢献すること」を目的としています。そのコンセプトを所属研究者によって語り、考える企画が連載インタビュー『ボーダーを越えて』です。それぞれの研究人生に触れながら、「自分が体験した学際的な活動」を語ります。学際研の理念と実態を浮き彫りにすると同時に、学際研のメンバーが対話を通じてこれからの組織のあり方を考えます。
パンフレット
![]()
日本語版 / Japanese 2024年度 / 2024 [2024.09 update]
|
![]()
英語版 / English 2024年度 / 2024 [2025.3 update]
|
---|